この世に生を受けて20と数年である。

長いとは言えないが、それなりの年数ではあるだろう。

学校生活はいつだって充実していたししているし、家族や友人など周りの人々にはずっと恵まれているし、イベントだっていくつもあったはず。

日々折に触れ過去に思いを馳せることもある。


しかしふと自分の人生に何があったか、今の私はどんな人間なのかと立ち止まって考えようとすると、過去が、記憶が何もないように思われることがあるのだ。全てすっぽ抜けて、元から何もないような、現在の私に蓄積されたものが何もないような、私を構成するものが何もないような、そんな感覚。


そんなことはないはずだ、と思いながら、どこかではその通り、それで当たり前だとも思っている。

喉元を過ぎたものは熱さどころか味も曖昧になる。

普段から何も考えていないから、いざ思い出して言葉にしようとしても、出てこない。

自分のことも、好きな本や映画やアニメのことも、大好きな友人達のことも。